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猫のフィラリア予防について

冬は動物病院が1年の中で最も落ち着く時期で、特に開業後1年経過していない当院はさらに落ち着いております。
そんな状況で時間が余っているので、こんな時に復習をと思い勉強をしていると巡り巡って猫のフィラリア症にたどり着きました。現在、猫の飼育頭数が増えておりフィラリアの予防について悩んでいる方もいらっしゃると思います。
春はまだ先ですが「猫のフィラリア症」について解説しますので、皆様の参考になれば幸いです。

まず、原因となるのは犬と同じ「犬糸状虫」(以下フィラリア)です。
蚊によって媒介されますが、フィラリアを体内に持った蚊が猫を吸血すると犬と同様に体内にフィラリアの幼虫が侵入します。

猫のフィラリア感染率はその地域に住む犬の感染率の10〜20%と言われます。
つまり、その地域の犬100頭に1頭がフィラリアに感染しているとすると、その地域の猫では500〜1000頭に1頭程度と推測されます。

感染率だけ見ると予防の重要性はあまりなさそうですが、
ポイントとなるのは猫に「糸状虫」が感染するということです。猫に犬糸状虫、、、猫に犬、、、

そもそも寄生虫にとって宿主とは自分の家です。寄生虫自身が宿主に多大なダメージを与えてしまうとその体内にいる自分に跳ね返って来ます。それ故になるべく宿主へのダメージを少なくし長く住み続けられるようになっています。
しかしそれは最適な宿主(=固有宿主)での話であって、本来犬を固有宿主とするフィラリアは猫との相性が悪いのです。
相性が悪い故に蚊から猫に入ってもフィラリアは成長途中で死亡し成虫まで成長することはあまりありませんが、実はフィラリア症の症状が最も強く出るタイミングはフィラリアが体内で死亡するタイミングなのです。血管という閉鎖空間で死亡した虫が体外に排出されず詰まったり、溶けたりしたら症状が重くなりそうなのはなんとなく想像がつくと思います。

猫のフィラリア症の症状は3段階に分かれます。
猫の体内に入ったフィラリアは体内を移動しながら成長し、肺動脈に到達直後にその大半が死亡します。この死亡した幼虫によって第1段階の症状が出ます。この時の症状は喘息と間違われることが多いと言われます。
生き残ったフィラリアが成虫となり一度症状は軽減しますが、その後に成虫が寿命(1〜3年)で死亡した際に第2段階の症状が出ます。この第2段階では10〜20%の猫が突然死をすると言われます。
第3段階は第2段階で受けたダメージによって起こる慢性呼吸器疾患です。

このように猫のフィラリア症では強い症状が波状攻撃のように襲って来ます。さらに問題なのは確定診断や根治治療が困難ということで、フィラリア症を疑っても漠然と耐え凌ぐしかないことが多いのが現状です。

私も以前は感染率の低さから予防に疑問を持っていた時期もありましたが、上記理由から今年は予防を推奨していこうと思っております。(←もちろん無理強いはしませんが。)
予防は犬と同じで蚊の季節に合わせてひと月に1回予防薬を使うことになります。お読みいただき、予防にご興味を持たれた方は4〜5月頃(地域によって異なります。お近くの動物病院でご相談下さい。)から予防をスタートすることをお勧めいたします。

いぶき動物病院大宮 四宮